Line ~何時ものセリフで~

2.

「行ってきます」

ため息混じりな私

『いってらっしゃい』気の毒そうな顔の
会社の皆に見送られ、これから雅人と
二人で依頼主に納品しに行く

本来なら私は行かなくてもいいのだが
一度食事会をして、その時に向こうの
社長が私を気に入ったようで、是非
連れて来てほしいと…

はぁ~
自意識過剰とかじゃなく、あの社長の
目付きいやらしいんだよな…
すきあらば体に触れようとするし

エレベーターの壁に寄り掛かり、
憂鬱な表情を浮かべる私に

「大丈夫、俺が守るから
だから付き合おう」

「「妻とは別れられないけど…」
でしょ!」

左手を壁につき私に覆い被さるように
変に格好をつけて言う雅人とハモってみせ、ウンウン頷く軽薄男に

「だからって何?
なんでそうなるんですか!」

全然頼りにならない
ってかまだ言うかコイツは…

ムッとしながらチラリと壁についている彼の左手を見る

結婚指輪しながら言うなっつーの。
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