シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

・煩悶 玲Side

 玲Side
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僕が見間違えるはずがない。


どんな格好をしていようと、

僕の大切な従弟を間違えない。



あの時――


レグの機械…取り分け予備電力に侵入していた、ウイルスじみた虚数増殖を模倣し、更には逆転して虚数を被食側にする寄生プログラムを作っていた時。


屋敷から悲鳴が上がったんだ。


この屋敷には、遊園地に来園した一般人を幾つものゲストルームに分けて避難させていたことは既に聞いていた。


そしてこの屋敷には、久遠が幾重にも浄化の布陣を施していたという。


守りが鉄壁の中、何故に悲鳴があがるのか。


群集心理かもしれないと、誰かがパニックになって上げた声に、大衆が恐怖心を増大させているのではないかと、由香ちゃんと蓮が様子を見に行った。


暫く応答がなく、何だか心配になって僕もついていけば…


開け放たれたドア。

沢山の部屋のうちの1つ、片隅に固まって震える集団。


集団は短い悲鳴を上げて怯えていて。


ガリガリ、ボリボリ…


まるで堅い何かを噛み砕くかのような、

そんな音が反対角から聞こえてきたんだ。


黒い黒い大きな影。


こちらに背を向け、一心不乱に何かを貪り食っている。



僕は思わず身構えた。



ガリガリ、ボリボリ…



あれは…何だ?


何を…食っている?



「何者だ?」



意を決して声を掛けた時、

影が揺らいで…何かが床に零れ落ちた。


ぼとりぼとりと、その形状は小さな弓のような形。


僕は目を細めた。



これは――。


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