シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

・荒狂 櫂Side

 櫂Side
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『小娘の記憶を消したのは、

――玲だ』



最初――…

久涅が何を言っているのか、理解できなかった。


だけど…

玲の…罪悪感に満ちた顔が思い浮かんで、それが現実味を帯びてきたら。

目の前が霞んで、全身から血の気が引いた。



玲が…。


芹霞の中から、俺の記憶を奪った?



――紫堂櫂を愛してる!!!



俺への感情を…玲が消した?


それで…玲は"お試し"をしていると?


頭に色々な思いがぐるぐると回る。


玲を冷遇したのは俺と、俺の親父。

本来玲は…全てを手に入れられる立場にあった。


それを壊して、玲の未来を潰したのは俺だ。


俺の想いを遂げたいが為、玲の置かれている立場など考えず、自分の為だけに…玲の肩書きを…立場を奪い取った。


玲が排斥されたせいで…殺されたんだろう玲の父親。

元を正せば、俺のせいだ。


それは俺の罪。

玲の父親までもを殺してしまったのは、俺の罪。


判ってる。

頭では判っているんだ。



だけど――


――玲は、お前の心を知りながら、お前を裏切ったのだ!!!



だけど!!!!


罪悪感に満ちた玲の顔。

それが何より物語っている。


――玲はお前から、愛を奪った。



玲に仕出かしたこと。

玲が仕出かしたこと。


玲への愛情。

芹霞への愛情。




均衡が…崩れる。




芹霞は――


渡さない!!!


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