シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

・救済

****************


怖い、怖い、怖い!!!


あたしの本能的恐怖を直に刺激する。

体中、鳴り響く警鐘。


――紫堂櫂は


キケン、キケン、キケン!!!


――存在していなかった。


嫌だ、この男、嫌だ!!!


――君が愛したのは


おかしいよ、おかしいってぱ!!!


――紫堂玲だ。


離しても離しても押し付けられる唇。

割り込まれた舌は、口腔内を掻き乱して。


逃れられない。

逃そうとしない。


熱い。

熱い。


熱さは焦りを生み続けた。


――芹霞、好きだよ?


玲くんが…。


――芹霞。


玲くんが大変なこの時に!!!!


――お前が好きだ。



玲くんが発作起しているのに…

この男は見捨てて冷笑した。


従兄の玲くんを…

見殺しにしようとした。



許さない!!!



残忍な薄笑い。

そして強引な唇。


この男は、残虐で非道なんだ。


まるで………みたいに。


ソレハダレ?


だからきっと…

あたしの見間違い


イタイ。


そんな男が、泣きながらあたしの名前を呼ぶなんて。


涙を零してあたしを求めるなんて。


イタイ。


ありえない。


表情と裏腹に…


アタマが…


その涙が哀しすぎるなんて――

何とかしなきゃなんて――


ココロガ…


そう思うあたしが異常だ!!!


イタイ!!!

< 1,337 / 1,495 >

この作品をシェア

pagetop