シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

・電脳 玲Side

 玲Side
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正直――

死ぬかと思った。



今まで何度も格闘ゲームはしてきたけれど、ゲームキャラに対して特に心を砕くことはなく。


というか、普通ありえない。


あくまでそれは、別世界の無機的な存在。


ダメージを受けたら痛いだろうとか、奥義を食らえば命がなくなってしまう恐怖を感じるとか…それはゲームが続行出来なくなるといったことに対して派生した感情であれば判らなくもないけれど、それを我が身のことのようにリアルに感じるのであれば、それは感受性が豊か…というものを超越して"病んで"いる。


まさか僕が。

20歳にもなって、こんな体験するなんて。



夢だと何度も思った。


しかし…僕の顔に掠る衝撃は、嘘じゃない。


画面越しに、今まで相手をしてきた対戦キャラが目の前にいて、次々に物理的法則を完全無視した、ありえない攻撃をしかけてきて。


紫堂の力自体、自然界の法則なんて無視しているけれど、凄く可愛く微笑ましいモノのように思えてくる。


此処はもう…何でもアリの世界。

だって此処は…ゲームなんだから。


今までゲーム界において、僕と対等に戦える存在(キャラ)はいなかった。


だけど今。


そうした存在が、リアルの僕と対等の世界で相対していると思えば、ゲームで登場するキャラがどれ程"超人"なのかを思い知らされる。


たかがゲーム、されどゲーム。


今まで軽んじて片手間に相手をしてきたモノに、死に物狂いで戦わねばならぬ僕。


言葉など通じない。


あるのはただ、本能の格闘のみ。

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