シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

・暗雲 櫂Side

 櫂Side
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電脳世界に居るという玲。


玲の力の源たる世界に…なんで玲が自身が遺留する羽目になったのか。

玲ほどの男が、どうして易々と誘われ、抜け出れなかったのか。


「0と1で構成されている電脳世界に、どうして生身の人間が入れる?」


蓮が遠坂に聞いた。


「多分…多分なんだけれど、師匠だから…出来たんじゃないかな」


遠坂は唸りながら言った。


「ボクは、電脳世界というものを想像でしか知らない。見たことはない。だけど…何となく0と1の言語がわかるのは、ボクがこよなくゲームを愛するから判るようになったんじゃないかな。

だけど師匠にはまるで敵わない。

師匠と電脳世界との関係はかなり特殊だ。幾ら師匠が天才肌で、"コード変換"という紫堂の超能力があるからと言って、電脳界の0と1の力を、対と成す人間界で、自ら解読して自分の支配下におき、自在に放てるというのは、まず他にはありえない。

それが出来るのが、師匠の…電脳世界に対する"愛"故だとすれば、恐らく師匠ほど電脳世界に敬意を示して愛情を注いでいる人もいないだろう。

その形がプログラムであれゲームであれ改造であれ…少々マニアックに偏りがちには出るけれど、日常生活において…紫堂の力を除けば、オタク代表のボクすら羨ましくなる程、機械は師匠の生活の一部に組み込まれている。自然にね。

あんなに多くの愛を注いで貰えれば、電脳世界だって…喜んで自らの世界に招きたくもなるだろう。ははははは」


玲…。

"オタク代表"を公言する遠坂に、羨ましがられて居るぞ?


「やっぱ愛だよね、愛!! これは愛が成せる奇跡!! 愛故に、電脳世界に招かれたんだッッ!!」


「電脳世界に…"愛"は必要なのか?」


熱い"愛"の伝道者に、蓮は当惑した顔を返した。


「必要となるのは、愛というより…"心"じゃないか?」


瑠璃色の瞳で、久遠が言った。


「"心"? 何で必要なんでしょうか? 久遠様」


久遠は静かに語る。



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