シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

・伝播2 玲Side

 玲Side
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多分僕は――

煌の存在に煽られたんだと思う。


煌の出現で芹霞から力が抜けた。


同時に顔に生気が漲っているのが判ったから。


煌が居なくて…寂しかったんだ。

僕は…ずっと隣に居たのにね。



確かに妙な出来事と、符号していく事象を目の前にして。

芹霞と暢気にデートして、僕の恋愛ばかりに気をとられている状況ではないことは十分判るけど――


僕の心には、正直櫂に対する対抗心しかなかったから。

焦ったんだ。


――紫堂櫂を愛してる!!


いわば僕と煌は同じ立場だと。


櫂がいねば手に入ると…だから僕さえ頑張ればいいという心は何処までも甘いもので、現実はシビアだということを思い知らされたんだ。


心を裂く、鮮やかな橙色。


無条件で愛されるその色に。

どこまでも芹霞の剥き出しの心で愛されるその色に。


僕の白い色は…霞んで思えた。


芹霞にとっての僕は、


――ごめんなさあああい!!


保護者?



だから焦った。

嫉妬した。


煌とこのまま居れば、"お試し"の時間は無駄に過ぎ行くだけ。


僕はこのままだと芹霞を手に入れられない。




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