シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

・電波2 櫂Side

 櫂Side
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ウイーーーーン。

ウイーーーーン。



高い音色の機械音が、

まるで女の悲痛な叫び声のように聞こえる。



「困ったな…」


腕を組んだ蓮が、深刻な表情をして呟いた。



ウイーーーーン。

ウイーーーーン。



2倍の早さになったスキャニングは依然続く。


見かけ上"ちびっ子"2人は、それぞれの未来をかけて必死だ。



「まさかあの男も久遠様と一緒に生中継に出演し…新アトラクション以外に…隅々まで"約束の地(カナン)"回ることになろうとは。しかもカメラを従えて」


――もう、テレビ局とは連絡を取っている。スポンサーたる紫堂代表である俺と、オーナーたる各務代表である久遠とのコラボだ。


蓮の金の瞳は、真っ直ぐに俺を見る。


「紫堂櫂。見つからないよう、逃げ回れ」


"逃げ回る"。


その不快な単語の響きに――

俺はきりっと歯軋りをする。



屈辱。


俺が…ただ逃げ回るなんて。


それならいっそ…



「紫堂櫂。久遠様は、久涅とかいう…お前の兄と対立されたのだ。それが"約束の地(カナン)"の為であれ…久遠様は、お前という爆弾を抱え込んでいる立場には違いない」


――オレは…正当なるこの土地の所有者として、戦うぞ。


――俺の敵となりたいのなら、致し方ない。
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