シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

・決意

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紫堂の家でお世話になって、5日経つ。


基本考えるより行動派のあたしは、閉じ籠もってばかりの変格的な環境の中、


流石に――

この先の住処を考えないといけないと思うようになってきた。


燃えてしまったあたしの家。


還る場所がないっていうのは本当に辛くて、嘆息しか出てこない。


あの家は、あたしだけのものじゃない。


煌と緋狭姉の家でもある。


このまま、まるで道を違えるかのように…バラバラになるのは嫌だ。


あたしが管理していた範囲での神崎家の全財産は…由香ちゃんの大切な銀色の袋に預けたまま、彼女自身が行方不明になってしまったし。


今のあたしは一文無しで。


玲くんにとって、厄介者もいいところだ。


あたしは、紫堂本家で孤立しているように思える玲くんの傍についていて上げたいけれど、還る場所がなければただのギブアンドテイクみたいな関係のようで、それがあたしには気に入らなかった。


いつだって、対等でいたいというのがあたしの信条だから。


更に玲くんは今や本当に王子様になってしまって忙しい身であるのなら、いつまでも玲くんにおんぶに抱っこの状態でいれば、庶民この上ないあたしなどすぐ玲くんの重荷になってしまう。


あたしの拠点というものを確立して、玲くんの力になりたいと強く思うようになった。


「お前は…頼るということをしない女だな」


玲くんが居ない時、よく部屋に訪れるようになった久涅が、あたしの決意を聞いて笑った。


憂いの含んだ切れ長の目。

通った鼻筋。


漆黒色の…玲くんの従兄。

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