シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

・予感2

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「銀色氷皇!!!?」



あたしは声を上げた。


氷皇たる蒼生ちゃんから、青色と揶揄の表情を払拭した…白銀に彩られた整いすぎた顔。


冷ややかで、無機的な威圧感は以前のまま。


久しぶりに見るその男に、好意的感情など芽生えやしない。


むしろその逆。


――BR002。お前は8年前…


こいつは煌に、知らせなくてもいいことを知らせた。


そして煌は、責任を取るためにあたしから離れ…その身を再び血に染めた。


メンタルの弱い"如月煌"の心を利用して、制裁者(アリス)の世界に再び引き擦り込もうとした張本人。



許さない。

あたしの煌の光を奪おうとしたことは絶対に。


だけどあたし如きが敵う相手ではないことは判っている。


今だって直面している危機感に、

頭の中で警報が鳴り響き続けているんだ。


謎めいたこの男は強い、強いんだ。


実際戦うのに苦戦していた煌や、桜華では桜ちゃんや…。


風走る闇の色。



……今、脳裏に浮かんだのは何?



――……は存在していなかった。


何で玲くんの声が聞こえるんだろう?



その時、爆風があたしの顔に降りかかって、あたしは現実に意識を向けた。

銀色氷皇を下ろしたヘリが、機体を持ち上げ…上空に上昇していく最中で。



銀色氷皇は――


ボンドカーに軽やかに着地したと思ったら、次の瞬間。まるで瞬間移動のように…玲くんの鳩尾にその膝を入れていたんだ。


「玲くん!!!?」


だけど玲くんはその直前で、その膝を手で払うようにして身体を反転させたようで、紙一重でその攻撃を避けていた。


いつも思うけれど…途中の動きがさっぱり見えない。


あたしが判るのは、奏でられる骨肉のぶつかる音と、瞬間瞬間の静止画だけ。


早すぎる相手の動きに対応出来る玲くんは凄いと思う。


絶対ジャングルでも生きられる。


玲くんなら、例え肉食獣がやってこようともその前に策を講じて、生き延びれるはずで。


まるで草食動物の王子様だ。


草食動物…。


玲くんは…草食だよね?


だけど…恋愛に淡泊だと言っている割には…。


あたしは――

べたべた&ちゅっちゅ&とろりを思い出した。


まさかやさしい玲くんが、"がつがつ"系なんてことは…。



がつがつ…。



「………」



がつがつ…。



何か今、それがキーワードになって…


――ふふふ、芹霞。……が……になってるよ?


夢の内容を思い出しかけた。

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