シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

・決断 玲Side

玲Side
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東京に異変が起きている。


突如出現した謎の黒塔。

素材を塗り替えられ、数を増した東京タワー。


そして…また使えなくなった僕の力。


緩やかな速度だけれど…


"虚数"が溢れてくるこの感覚は、

まるで電脳世界に居た時のような錯覚に陥る。



電気が流れる…"電波"は、きちんと存在しているんだ。


三沢さんが情報収集のためにつけた車のテレビやラジオ。


遮断されることなく乱れることなく、綺麗な音なり映像なりで捉えることが出来たんだ。


それは意外なことだった。


電波の主機能は、きちんと役目を果たしている。

電気そのものには異常はないんだ。



そう考えれば――。



まるで――


「"すり替え"が起っているようだね」


僕の呟きに、芹霞が首を傾げた。


「すり替え?」


「うん。僕は電気の"構成因子"まで感じ取れる特殊な人間だけれど、普通の人間が電気を感じるということは、"感電"という触覚を刺激された時だ。

電気が電磁場を構成して、そして電気が電化製品を動かし続けているという事実がある限り、それは何処までも変わらない"電気"には違わない。

誰も、その電気が何でどのように構成されているかなど気づかないだろうから。

電気は電気でも…質が違う電気。人間で言えば、最小の…"遺伝子"レベルの情報だけが変わったようなものだ」


「ほえ?」


芹霞がおかしな声を出した。

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