『短編』しあわせの条件




昔は、女性の年齢をクリスマスケーキに例えたのだそうだ。



24までが売り時。



25を過ぎると、値が下がる。



まったくもって、ヒドイ話よね。



女は商品じゃないわ。



かく言うわたしは、昔ならとっくに値崩れしている28歳。



だけど、わたしには素敵なフィアンセがいる。



「こちらの商品は、いかがですか?」



そう言って、店員さんがわたしの指にダイヤの指輪をはめる。



「ステキね」



手を少し動かして、ダイヤのきらめきを確認する。



「どれでも好きな物を選んでいいからね」



トオルさんは、わたしの隣りで目を細めている。



「ありがとう」



かわいらしくお礼を言うと、



「僕と結婚してもらえるんだから、このくらい当たり前だよ」



と、にっこり微笑んだ。



「嬉しい」



肩をすくめて微笑むと、トオルさんはさらに目を糸のようにして微笑んだ。



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