リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『甘々』・8
『甘々』・8
お正月が過ぎれば、世の中は次のイベントの準備を始める。

2月は特に、女の子にとっては重要なイベントがある。

「お~。バレンタインのディスプレイって、本当に可愛くてキレイだな」

わたしはデパートの一角に作られた、バレンタイン用の売り場を見て心が踊った。

カラフルな色や、可愛い物、綺麗な飾りがいっぱいで、女の子が大好きな物に溢れている。

「おっ、本当だ。なあ、くれるよな?」

不安げな声でわたしに声をかけるのは、一ヶ月前まではただの幼馴染、今では恋人の彼だ。

「良いけど…。どんなチョコが食べたい?」

「それはお前に任せるよ」

「じゃあ既製品で、バレンタインを一日過ぎて半値売りにされているのでも?」

「…手作りの物にしてくれ」

「面倒だけど、了解」

後ろから盛大なため息が聞こえる。

…だから『恋人』になるなんて、止めようって言ったのに。
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