咲き舞う華は刻に散る

4.



とある屋敷にて。



およそ二十畳はあるであろう広い室内に二つの影があった。



上座には男、下座には彼に仕えている忍びと思われる女が居る。



「京の様子はどうだった?」



男の穏やかな声が静かな室内に零れた。



「はい。いつもと変わらず、人が行き交い、賑やかです」



「そうか」



女の報告に男はつまらなそうに溜息を吐くと、外に視線を移した。





< 197 / 615 >

この作品をシェア

pagetop