咲き舞う華は刻に散る

3.



沖田の死後から数日。



美桜里は土方達と合流するため、会津に向かっていた。



「お帰りなさいませ、美桜里様」



新選組が陣を置いている屋敷に着くと、泉羽が出迎えてくれる。



「ただいま、泉羽。皆は無事だったか?」



美桜里の問いに泉羽の顔色が曇った。



理由は分かっていた。



「申し訳ありません、美桜里様。近藤様を守り切れませんでした」



泉羽は歯を食いしばり、肩を震わせていた。



おそらく、彼女は主である美桜里の命令を果たせなかったことに責任を感じているのだろう。


しかし、美桜里はそんな彼女を責めるつもりはない。


「これは誰のせいでもない。もちろん、泉羽を責めるつもりもない。お前は良くやってくれた、ご苦労だったな」



美桜里は労いの言葉をかけ、泉羽の肩を叩くと、屋敷の中に入った。



後ろから泉羽の啜り泣く声が聞こえたが、あえて聞こえないふりをした。




< 511 / 615 >

この作品をシェア

pagetop