12月中旬の平日の夕刻。


定時後、灯里は鞄を片手に駅への道を歩いていた。

この時期になるとさすがに風も冷たく、定時になるともう外も真っ暗だ。

年の瀬も近い。


これまではクリスマスや正月は家族や友人達とともに過ごしてきた。

彼氏がいないのを寂しく思ったことはあるが、誰かが傍にいてくれたのでそれなりに楽しく過ごすことができた。

けれど今年は……。


「……」


灯里は足を止め、晃人からのメールをもう一度確認した。


『お前が、好きだ』


晃人の告白が脳裏をよぎる。

晃人とクリスマスを過ごすということは、晃人の恋人になるということなのだろうか?


「……っ……」


灯里は目を伏せ、無意識のうちに唇を噛んだ。

正直、まだそこまでの覚悟はできていない。

晃人にそう言えば彼は大人の余裕で『それでもいい』と言ってくれるのだろうが、さすがにそれは晃人に悪い。

クリスマスとなると、さすがに中途半端な気持ちで『行く』と返事は出来ない。

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