悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
五章

1.疑念




3月中旬。


灯里は販売管理システムから売掛台帳と買掛台帳を印刷し、金額のチェックを行っていた。

今月末は年度末決算なのでこれから月末まで残業の日々が続く。

蛍光マーカーを片手にチェックする灯里の前で、電機課の清水さんがばさっとファイルを置いた。


「吉倉さん、ここに電機課の売掛台帳を置いておくわね。与信を確認したら電機課まで戻してくれる?」

「はいっ、ありがとうございます」


灯里はぺこりと頭を下げ、資料に視線を戻した。

売上も大事だが、売った相手がちゃんとお金を払ってくれるのかはもっと大事だ。

それを管理するのが与信情報といわれるもので、決算の前に与信限度枠を過ぎている得意先がないかどうか確認しておかなければならない。


「えーっと、皆川電設は……」


灯里は一つづつ確認しながら、マーカーで印をつけていく。

30分後、灯里は半分ほど終わったところで背伸びをし、立ち上がって休憩室へと向かった。


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