愛を教えて ―背徳の秘書―
(21)罪と罰
『ああ……申し訳ない。君のような若い子には、もっと似合いの男がいると思うんだ。遊びでもいいなんて、気楽に言うもんじゃない。悪い男はたくさんいるんだから』


新入社員研修で、まるでピンポイントのように前に呼び出され、薫は担当社員の苛めに遭っていた。

最初の標的は薫の大学時代からの親友・京佳だった。そんな彼女を庇った薫が面白くなかったのだろう。だが、京佳は再び苛められるのが嫌で逃げてしまい……。

そんな新人研修の実体を誰かが上層部に通報したらしい。

社長の個人秘書という男性がやって来て、研修中のビデオを検証し、翌日には担当社員が変わっていたのである。


ことを荒立てず、人間関係の摩擦も起こさず、その手際のよさに、薫は宗にひと目惚れする。


ところが……


『宗さんって大人の男性よねぇ。私、好きになっちゃった』


京佳もそんなことを言い出した。

京佳は同期の新入社員の中でもかなり可愛い。会社の顔とも言える受付に選ばれるくらいだ。焦って告白した薫に、宗は年齢を理由に断わった。


そして半年後――。


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