リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『甘々』・13
『甘々』・13
旧家の家に長女として生まれたのならば、人生は決まっている場合が多い。

人も羨む豪華な生活を送れるだろうけど、結婚相手や将来の職業に関しては、自分の意志など何一つ通じない。

それが分かっているからこそ、私も大人しく18になってお見合いをすることを決めた。

相手は同じく旧家の長男。

この見合いが上手くいけば、私は相手の家に嫁入りしなければならない。

まあこういうのも、昔から代々続くものだ。

だから覚悟はとうに出来ている……はずだった。

少なくとも、私は出来ている。

なのに…何故相手の男は何時まで経っても現れない?

見合いの仲人は時間を過ぎても現れないことに焦り、今、連絡を取りに行っている。

今日は当人同士の顔合わせということで、親も付き添い人もいなくて、私一人が部屋に残されてしまった。

「まったく…。遅れるとはどういうことじゃ」

いつもの古臭い言葉遣いも、人がいないからできるもの。
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