好きになっても、いいですか?
longing:慕情

01



「本当に大丈夫ですか?」
「はい。これが終わったらすぐに退社しますから」


麻子はやりかけの仕事を抱えていた。
しかし、もうすぐに終わりが見えていた為、敦志に残業を願い出た。


「わかりました。では芹沢さん一人になってしまいますが、最後の戸締りをよろしくお願いいたします」


敦志はそう言うと、麻子に秘書課のカギと隣接している社長室のカギの、2連になったものを手渡した。


「明日もまた、よろしくお願いしますね」
「はい。お疲れさまでした」


敦志が秘書室を出て行くと、静けさが増して感じられた。
純一の姿は見えなかったが、どうやら帰りはそれぞれの車で帰宅するらしい。


「さて。あと少しだけ!」



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