好きになっても、いいですか?

03


「やっとお昼ねぇ~」
「そうですね」


午前の就業時間を終えてそれぞれのデスクを広くしてお昼にする。
麻子と泰恵は向かい合わせのデスク配置でいつもそのままその場でお昼を共にする。

もう一人の社員、川上(かわかみ)は、すでに外出して行った。
彼女はいつも個人プレーであるが、特に性格も悪いわけではないので課の皆もそのさばさばした関係を保っている。


「川上さん、いつも外食飽きないのかしら」
「今は日替わり定食とかもありますから」
「たまに外食もしたいものだなぁ」


泰恵と麻子の会話に独り言のように少し離れた席から課長の鈴木三郎(すずきさぶろう)がぽつりと漏らす。


「あんなこと言って、愛妻弁当嬉しいくせにね」


泰恵が小声で言うと、麻子は笑って目配せしながら自分のお弁当を広げた。



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