好きになっても、いいですか?
personality:個性

01



「今日はお疲れ様でした。後は内勤で。ここにある書類の校正作業をお願いします」
「はい」


秘書室に戻り、敦志に指示を出されると、麻子は言われた通りに書類に手を伸ばす。
そんな麻子を見て、敦志がぽつりと話しかけた。


「――芹沢さん。この棚のどの辺りまで目を通されましたか?」


敦志は午前中に指示をしていた棚に歩み寄りながら麻子に聞くと、先程の濱名商事の資料の位置を確認する。


「え?いえ、すみません。まだ全然」
「でも、さっき言っていた資料はおそらくこの辺のものでしょう?」
「あ、はい。その辺りはもう目を通しましたけど」
「―――ちなみにどの辺りまで……」


敦志が細かく聞くものだから、不思議に思いながらも麻子は椅子を立ち、敦志の元へと近づいた。


「この辺ですかね……」




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