好きになっても、いいですか?

02



「芹沢さん、戻りました。何もありませんでした……か」


敦志が秘書室へ戻ると、麻子の様子がおかしいことに一目で気が付く。
顔が真っ青で――――瞬きもしていないんじゃないかと思うほどに、ずっと同じ位置を見続けている。


「芹沢さん……?」
「す……みません、早退させてください……」


敦志の問いかけで、弾かれたように麻子は立ちあがり、血相を変えて鞄を手に取った。


「待って!」


敦志が慌てて肩を掴んで、麻子が出て行くのを制止した。


「何が、あったんです?もしかして……」
「病院から、連絡があって……それで」
「どうしてもっと早く……!とりあえず、すぐに病院へ」


敦志の了解を聞き終えるのと同時に、麻子はドアを乱暴に開けて走って出た。


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