見てるのはあなたじゃない
「喉仏よ」

「それって俺が斎木さんの鎖骨見てるのと何が違うの?」

「……」

「俺の喉仏に性的興奮を感じてるんでしょ」

「……そうね。確かに私のそれもセクハラだわ」


言い込められて悔しい思いを噛みしめながら認めた。
プレゼンの時だって、いつもコイツが相手だと上手くやり込められる。

私の天敵。


「俺は斎木さんの綺麗な肌をもっと見たい。服の下はもっと抜けるように白い肌が隠されてるんだろうな、とか……」

「だから変態発言はやめてよ。酔ってるの?」

「酔ってないよ。じゃあ、斎木さんは?」

「何が」

「俺の喉仏をどういうつもりで眺めてるワケ?」

「……私は」


会話の最中もほどよい緩やかさで上下を繰り返す。
もっと見ていたい。触れたい。

この声で名前を呼ばれたら、とか。
ベッドの上ではどんな声を出すのかしら、とか。



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