Dirty Hand (ダーティ・ハンド)【密フェチ】
Dirty Hand



私は折れた枝の様に、自然と地面へ吸い寄せられた。



地平線から見るこの世界はどこまでも暗く、黒かった。



この場所がどこでもいい。これ以上、何も見たく無い。



いくら歩いても、この世界には瓦礫の山と死の灰しかない事を、イヤと言う程思い知らされたから。




カサカサになった唇は何度も舐めても、ひからびたままだ。



二週間前に塗った、長時間保湿の艶々グロス。



その効果は、随分前に失われていた。



誰かの指先がこの唇に触れる事も、きっと無いのだろう。



「助けてぇ……ください」




何の意味も無い言葉を呟いた。誰に言うでもなく。




どうせこの世には、救ってくれる神様なんていないのだから。


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