114歳の美女
3話 嫁の責務
 村島寛道の母 吉のは、ときの臍の緒の件で、気の重い日々を過ごしていた。

 「なんで、あてが・・・」
 
 吉のは溜息をついた。
 
 (臍の緒なんて無いに決まってる)
 
 吉のは臍の緒を探す気なんか、全く無かった。

 暫く思案していた吉のは、思い切って高齢福祉課の星田智也に電話を入れた。
 

 「もしもし村島どすけど。高齢福祉課の星田はんお願い致します」
 「高齢福祉課の星田ですか。暫くお待ち下さい」


 「お待たせしました。星田ですが」

 「村島どす。先日、依頼の臍の緒の件どすが、幾ら探しても見つかりまへんどしたわ」

 「期待していたのですが」

 「思い当たる所は、皆探したんどすけど」
 「思いもよらぬ所にあったりしますから」

 「もう何年も昔の話やから、無くなっているのと違いますか」

 「あれば有難いのですが」
 「探しようがありまへんわ。申し訳ありまへんけど」

 「もし、出てきましたら、電話いただけませんか」
 「ええ、わかりました。そないなら、これで」

 「・・・」
 「プープープー」


 吉のは幾ら断っても食下がる、市役所の役人に苛立っていた。






 
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