愛おしいコンプレックス
愛おしいコンプレックス
初めて貴方を見たのは、転校初日の朝の職員室。

HRの前に、担任になる先生が色々と説明してくれていたけど、緊張でガチガチな私にはそれは意味をなさない状況だった…

そんな時、扉が開く音がして、思わずそちらに目を向けると――


色素が薄いのか、朝日を浴び、まっさらに光り輝くストレート髪

凛とした雰囲気を醸し出す、少しつり上がった漆黒の瞳
そこから伸びる睫毛は、髪同様に美しく光り、華やかに顔を彩る

その神々しささえ感じる美を、優しく和らげる、少ししり下がった眉



その女神像のような美しさと穏やかさを持つ、




貴方に、一瞬で堕ちた。




実を言うと、あの時は貴方を“女の子”だと思って…

貴方が“男の子”だと解るまでの3日間は「どうしよう!同じ女の子に、こんなに胸がドキドキしちゃう!」って、本気で戸惑ってた


そして後に、貴方がその女神像のような顔立ちにコンプレックスを抱えていると知った時は、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになった…


それでも…


私は、やっぱり貴方の美しさに惹かれてしまったから、正直に伝えた



「私は、貴方のその顔が好き…だから、俯かないで?顔を上げて生きて欲しい」



なんて身勝手なお願いなんだろうと、今なら思うが…


貴方は、そんな私を「好き」と言って受け入れてくれた。




付き合うように成ってから、貴方の男らしさを幾つも知らされた

勿論、そんな貴方も好きになった。



でも――




「…あっ、ちょっ…待っ…」




恥ずかしさで、頬を染める顔は、可憐で甘く――




私は永遠に惹かれるのだろう、




誰よりも“女神のように美しい”貴方に。



end
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