桜が求めた愛の行方

３．再会

さくらは立木にここでいいと下がらせて、
テラスの前で立ち止まり彼を見た。

ビシッとスーツを着こなして書類を読む姿は
仕事の出来るビジネスマンそのものなのに、
どうしてこの美しい風景の中に溶け込んで
優雅に見えるのかしら。

佐伯勇斗は幼い頃から美しいと男だった。

アルバムの所々に存在する
シャープな顔立ちにサラサラの黒髪の少年は
切れ長の瞳を煌めかせ、いつも周りを
ハラハラ、ドキドキさせていた。

周囲の期待を裏切る事なく成長し、
180センチを越える高い身長には
見合うだけの手足の長さを持っている。

周りを惹き付ける魅力は衰えるどころか、
色気を増してパワーアップしているわ。

神様は時々不公平な気まぐれを
起こしてしまうのだと、
彼を見れば誰でもきっと思うはずよ。