二重人格神様

悪魔の瞳







――――――…
――――…





その頃、時おなじくし



屋敷の屋根の上にマントを身にまといフードを深く被り夜空に浮かぶ月をみあげる男がいた



『…………』


涼しく、優しいかぜがマントの裾を揺らしそれに黄昏ながら男は口元をフッと動かす



『…さすが、海鈴様だ。私の気配に気付き庇うとは…な』




その言葉を放つと男は月に向かって手を伸ばす




『いや、気付いてもらわなければ困る。私は…本当は、彼女を傷付けたくはないのだから』



伸ばした手をまるで月を掴むように握り、ゆっくりと開くとそのまま月をみあげる




『いのりよ…君には期待している…』



最高に呟き、男は足音を一つも立てずに屋根を歩く


相変わらず、顔は見えないけれどわずかに見える口元は何やら面白そうに微笑んでいる



何が面白いかはわからない。それは男のみが知っていることで




それを最後に、男はいつの間にか夜の闇に姿を消していった








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