幸せになりたい
私の自宅に着いたのは、いつも出社する時間の15分前。

これなら、着替えをするだけだからゆっくり間に合う。

『ありがとう。時間大丈夫だから、電車で行くね。
 健太郎はそのまま出社して。』

「・・・・」

『健太郎?』

「・・・・」

『ねえってば。どうしたの?』

「俺と一緒に行くの嫌なの?
 おんなじとこ行くんだから一緒に行けばいいだろ。
 待ってるから早く着替えておいで」

健太郎は一緒に行きたいと言うけど…

『でも・・・会社の誰かに見られたら困るでしょ?』

「なんで?社内恋愛禁止だなんて聞いてないし」

『そういう問題じゃないくて・・・
 転勤してきたばかりで健太郎が困るでしょ。』

「俺平気だし。
 それから、別にみんなにわざわざ言うつもりもないけど、
 隠すつもりもないから・・・」

『えっ???』

「琴音は俺と付き合ってるってばれると困ることでもあるのかよ」

『だって・・・今は健太郎を狙ってる女子社員いっぱいなんだよ。』

「そんなの関係ねーし。」

『私が困るの。会社の女子社員って怖いんだから。』

「分かったよ。琴音が嫌がることはしない。」

『ありがとう。』

「でも、今日は一緒に行こうな。途中でおろすから・・・」

『うん。ありがとう。』

なんとか健太郎のご機嫌も治ってほっとした。
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