『若恋』若恋編
出会うまで





―――りお。


おまえに出会うまで。




毎晩、夜景の見える部屋で数えきれないほどの女を抱いた。

気に入った女を見つけてはひとときの快楽に興じた。



女なんて。
金と名声に擦り寄ってくる都合のいい生き物なんだとしか思ってなかった。





―――りお。

おまえに出会うまで。



切ないという感情を知らなかった。




触れたくても、触れられない。

その横顔を見ているだけで、苦しくなる。

黒曜石の瞳が、俺以外の男を映すのが許せなくて。

この腕に閉じ込めることができたら

―――と、思う。




なにもかもが新鮮で。
何もかもが初めてだ。





「おまえが初めてだ」





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