『若恋』若恋編
春から夏へ



「右手の指も順調に回復してるし、左腕ももうギプスを外してもいいだろう。
ただ、これからリハビリに入るにあたって、注意がある」

「注意?」

「とにかく転んだりするなってことだ」


往診で診てもらってたりおの回復具合を今日はレントゲンで確かめるために成田のところを受診した。

左腕の骨はこの数週間で細くなり、転んだらまた同じところが折れると言う。



「お嬢ちゃん転ばねえように気をつけてやれや」


ポンと肩を成田に叩かれ、りおを見る。

右手の指の包帯も分厚かったものから薄く巻かれる程度になった。



「順調に回復してるってよ。よかったな」

「うん」

りおがギプスが外れて吊るだけの身軽になった腕を嬉しそうに擦る。


「明日からリハビリだな」

「うん」

「帰るぞ」



榊の運転する車で屋敷へ向かう。


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