HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-
 チラッと横目で見ると舞はノートを取るのに夢中になっていた。



 ――本当に俺のことが嫌い? でも、どうして?



 それは、ほんのちょっとした悪戯心だったんだ。

 俺は彼女の肩先に顔を近づけた。

 次の瞬間、彼女が視界から消える。



 ガッターン!!



 ――……え?



 俺は床に尻餅をついた舞と目が合った瞬間、つい噴き出してしまった。

 笑ってはいけないが、その無様な姿が意外すぎて笑いが止まらない。だって普通椅子から落ちるか?

 でも舞の顔が一瞬歪んだのを見て我に返った。すぐに笑いを引っ込めるのは難しかったけれど、あんなに勢いよく椅子から落ちたら相当痛いはずだ。

 それに避ける舞が悪いとはいえ、俺が悪戯したせいでこんな事件に発展してしまったのだ。

「ごめん、立てる?」

 俺は手を差し出したが無言で拒否された。そして俺を見ないようにして立ち上がって座る。
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