HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-
#07 自分の気持ちに気がついてしまいました。
「はるくんって……ストーカー?」

 英理子さんは眉をひそめて小声で言った。

 そうじゃなくて英理子さんを追ってきたのでは? と思ったが口には出来なかった。

 清水くんは英理子さんが振り返ってからは私たちとの距離を保ちながらゆっくりとついてくる。こちらの様子を伺っているようだった。

「ああ、もう! 何だか気持ち悪い!」

 そう言うと英理子さんは勢いよく後ろを向いて仁王立ちした。ちゃんと腰に手を当てているところが何だか男らしい。……ってかわいい女子なんですけどね。

 そして清水くんを真っ直ぐ指差した。

 ちなみに私たちと清水くんの距離は、大声でなければ声は聞こえないくらい離れている。

 私は何が起きるのかわからず無意味にドキドキしていた。

 英理子さんは清水くんに向けた指を大きく振り上げてもう一度彼を指差す。

 そしてその指はすぐに左の方角を指差した。



 ……これは何かのジェスチャー?



 更に英理子さんは左手を腰に当てたまま、指差していた右手でシッシッと犬でも追い払うようなジェスチャーをした。

 それを見た清水くんはまるで飼い主に酷く怒られた犬みたいに肩を落として引き返した。

 私は茫然としてその光景を見ていた。

「よし! 邪魔者は帰ったわ」

 英理子さんは満足げに微笑んで私を見た。それはすぐに怪訝そうな表情になる。
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