HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-
 結局この日、私は日誌以外の日直の仕事を清水くんに押し付けて、呼吸の八割をため息でまかないながら、史上最低点の数学の解答用紙を持って家に帰った。勿論、その解答用紙は親には見せず、びりびりにちぎってゴミ箱行きになったんだけどね。

 でも、ベッドにもぐりこんだ私はふと思う。

 土曜日は明後日だ。いや、今夜寝て、目が覚めたら金曜日で、土曜日はその翌日だ。当たり前の話だけど……。

 そしてその土曜日は図書館で清水くんに数学を教えてもらうのだ。



 ――じゃあさ、俺のウチと図書館とどっちがいい?



「ぎゃーーーっ!」

 私は思い出して飛び起きた。一人で悶えているのはかなりオカシイが、このセリフに悶えずしていられようか? いや絶対無理。

 だいたいいきなり「俺のウチ」に誘いますか?

 どういうことなんだろう。私なんか箸にも棒にもかからないから、家に呼んだところで誰も何も言わないだろうということ? ま、それは事実だよね。

 そもそも数学を教えてくれるのだって、他意はないのだから彼にとってはボランティアなんだよね。そう、ボランティア。

 ……でも、どうして私にボランティアなんかする必要あるんだろう?

 あれ? 何故こんなことになったんだったっけ?



 こうしてまた私は眠れぬ夜を過ごしたのだった……。
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