HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-
 えっと、まだ授業開始から5分くらいしか経ってないと思うんだけど……

 びっくりした。

 もう全部解答が書き込まれていた。

 ……ありえない。なんで? どうやったらそんなに早く解答できるの??

 私は急に闘争心がめらめらと燃え上がるのを感じた。

 そこから頭をフル回転させて鉛筆を走らせる。

 それでも終わって時計を見ると30分はかかっていた。

 私の中のプライドがちょっとばかり傷つく。

 そりゃ私は学年でせいぜい良くて20番くらいの成績ですよ……。

 これでも頑張ってるつもりだった。

 いや、でもさ、よく考えたら早ければいいってわけじゃないんだよね!

 そう思ってまた隣の机の上をちらりと見た。



 ……私の負けです、はい。



 間違っているわけなんかない。しかも字も男子にしては読みやすい綺麗な字だった。

 なんてこった。全然勝負になってない。

 でも、私は負けず嫌いなのだ。



『打倒! 清水暖人!!』



 密かに心の中で叫ぶ。

 いつか、お前を倒してやる! 見てろー!!

 そんな私の心の中に燃え上がる炎のことなどつゆ知らず、ソイツは1時間目が終わるまでずっと窓の外を眺めていたようだった。
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