御曹司なんてお断りっ◆
ディナーはいかが?

****

*******
私の勤め先は、
主に建築系のデザインを扱う会社。


現場の状況やクライアントのオーダーによって
予期しない仕事が増えたりするけど・・・

今日に限って
トラブルもなく、
順調に仕事を終えることが出来た。



・・・こんなときには仕事が無いんだよね・・・

はぁ。
机周りを整頓する時間まであるわ。

思わず書類を片付けながら
ため息が漏れる。

あーぁ。
残業が入れば、ディナー断ろうと思ってたのに・・・


5時50分。

ちらりと壁にかかった時計に目をやる。

本当に
来るのかな?


「あれ?田中さん。
 今日は早いね~?」

「あ。黒田課長。お疲れ様です。」

もう帰るの?なんていいながら
にこやかに課長から声がかかる。



35歳の黒田課長は仕事が早くて
社員にも信頼されている、話しやすい上司なの。

黒々とした髪をオールバックにし、
落ち着いた雰囲気で、やさしそうな低い声は
女子社員に人気があるし。




「田中さん。もう上がりだったら、ご飯でもどう?」
「いえ。
 約束があるので」

別に隠すことでもないので、
さらりと告げる。



 
< 46 / 305 >

この作品をシェア

pagetop