しあわせおばけ

…影…?



そう言われて、俺は再びゆっくりと視線を下げた。

すると…―



ない。

人間、いや、形あるものならば必ずあるはずの…



影が。



「うわっ!」

俺は今さらながら、驚きのあまり、勢いよく後ろに転がった。

さっきまで全然気がつかなかったくせに、一旦そうとわかると不気味で仕方ない。

目の前に立つ、影のないこの女性が、3Dの合成映像の中にいるように見えた。



< 67 / 221 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop