威鶴の瞳
占い師と元ヤン
なんだこれ。
なんとなく、恥ずかしい。
こんなトーマ、見たことない。
なんだか、少し、調子が狂う。
フワリ、いきなり頭が大きな何かになでられる。
トーマの、手……?
いきなりのことで少し驚いたけど、布団から顔を放してトーマを見る。
「お前も、ムリするなよ」
「……え?」
「占い。凄腕なんだろ?」
カァァッ、顔に熱が集まる。
『凄腕』それよりも何よりも、トーマの顔が思っていたよりも近くて、顔が優しくて、その手つきも優しくて……。
そうか、今風邪のせいか、聴覚の調子も悪いんだ……。
距離感を、測れなかった。
逆を言えば私は今、ちゃんと普通の女の子と同等になっているのかもしれない。