威鶴の瞳
カウントダウン
「『依鶴』が、目覚め ない『嫌な予感』て、どういう事だよ?」
トーマの静かな部屋の中、俺の言葉に、トーマから動揺が伝わる。
俺だって気のせいであってほしい。
トーマへの想いに気付いただけでそこまで満足するか──普通ならそれ以上を求める。
でも依鶴は?
依鶴は欲を持っていない。
今まで全てなりゆき・人まかせで、何かしたいと強くは思わなかった……いや、思ってはいても抑えていたか。
今その感情は俺にある。
こっち側の依鶴の感情に、怒りや欲・激しい感情はない。
それが起こったとすれば……俺たちが眠っていた丸一日の中でも変化があった場合──変化?
「『依鶴』にも、変化が?」
「……どうした?」
「あの街にいて何もないなんてあるか?」
「は?」