威鶴の瞳
0.1つに戻る時
──長い間眠っていた俺が退院し、一ヶ月しない内にトーマも退院した。
依鶴を通して俺がBOMBをやめたことや、姉との関係、自分との本当の関係を、レインは話してくれた。
まさか本当の姉妹だったなんて考えもしなかった事実に戸惑ったけど、それはそれで嬉しくもあった。
そして俺たちは今日ついに……トーマとレインを連れて、姉に会いに行くことになっていた。
「今思えば、私と威鶴は奇跡のような再会だったわね」
トーマが運転する車の中で、レインはそう話し始めた。
「奇跡?」
「私あの日は噂を聞きつけてあの場所に行ったの。『魔女』がいるって。BOMBは実力重視だから、力になると思って……それで、男の子に出会った」
俺は、あの日に誕生した。
家を飛び出したのも、レインについて行ったのも……俺だった。
俺じゃなければきっと、付いて行きはしなかったかもしれない。