威鶴の瞳

竹原家



そう、以前トーマの過去を見た時。

その時だ、彼女を見たのは。



その過去で、必死に……。



「どうぞ、お座りください」



目の前の椅子を指して言う。



カタリ、小さな音を立てて、遥香さんが座る。



「……何を占いますか?」



彼女の悩みを通じて、トーマを聞く。

弟想いなお姉さんならきっと、トーマの話をしてくるはずだと確信に近い思いで。



彼女は少し俯いて言う。



「家のことを……。あの、私と言うより、弟のことに近いんですけど……」



これは想定内の答え。

それを聞いて、私は笑う。



「大丈夫ですよ。あなたが関わる範囲でなら」



あなたがこれから知る未来。

それならば私も、見えるから。


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