教組の花嫁

 (母の恨みはあっても、私自身が恨みを受けた訳ではない)


 小波はなおも心を探り続けた。


 (それなら、いっそ千葉様の申し出を受け、教団と財産を自分の物にした方がいいのではないか。両親を亡くした私には、頼りに出来るのは金だけだ。『命の泉』を乗っ取る事こそ、金を手に入れ、真の復讐に繋がるのではないか。それに、ほのかの夜叉のような顔をもう一度見たい気もするし・・・)


  「よ~し、思い切って千葉様の申し出を受けてみよう」


 小波の腹が決まった。


 小波はフリーライターの道を捨て、この大いなる野望に賭けてみようと思った。





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