教組の花嫁
 
 「職場の元同僚さ」


 北河がほのかに答えた。


 「星野さんは東京にいたのか。もしかして、記者?」


 ほのかが北河に尋ねた。


 「そうだよ」
 「ありがとう。じゃ、またね」


 ほのかは北河を、次の機会に誘惑するつもりでいた。


 
 「あの女は記者だったのか」



 席から立ち去ると、ほのかが小さく呟いた。



 (畜生!)



 (週間ウーマンの例の記事を書いたのは、あの女だったのか。あんな嘘くその記事で、私を地獄に突き落としたのは、あの女だったのか。くそっ・・・。この仕返しは、きっと、きっと、してやるから、覚えとき) 


 ほのかは小波に対して敵意の炎を、前以上に激しく激しく燃やしていた。





< 173 / 296 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop