こちらミクモ探偵事務所5
第四章 見えてくる真実

聞こえない殺人


不安を抱えたまま眠りについた昨夜。
若干寝不足気味なまま、紘哉は下へ降りた。

「大丈夫?何か眠そうだよ?」

羽兎が心配そうに訊いてくる。
紘哉は欠伸を噛み殺し、朝ごはんご飯を咀嚼する。

「ケイに任せると言った俺がバカだった……」

「え?何か花形さんやらかしたの?」

「いや、別に。それなのに、底知れぬ不安が……」

「花形さんだからしょうがないよ!」

羽兎が紘哉に向かって笑いかける。
そして、彼女は恵一を一瞥した。

恵一と目が合う。
彼は羽兎に笑いかけると、味噌汁を飲んだ。

「あの自信はどこから湧いてくるんだか……」

彼の笑顔を見た瞬間、羽兎も何だかよく分からない不安に襲われた。

< 191 / 224 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop