身代わり王女に花嫁教育、始めます!

(5)荒ぶる水の使い

日を重ねるごとに、カリムは困った事態に陥っていた。


(カリムめ! うるさくせっつきおって)


それは本物の側近カリム・アリーのことだ。幾日レイラー王女を砂漠のテントに留め置くつもりか、と使いを寄越した。

無論、それほどあからさまな物言いはしないが、


『婚礼の宴に出す食材が傷んでしまいました』


そんな遠まわしな嫌味を言っていた。


『なら、新たに用意するまでの時間が必要だな。たっぷり時間をかけるがいい』


王がシャーヒーンを飛ばし返事を伝えると、奴は目を丸くしていたという。


(それにしても、バスィールの大公はどうしてさっさと問い合わせに答えぬ! まさか、レイラー王女を見つけ出し、連れて来るつもりではあるまいな)


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