身代わり王女に花嫁教育、始めます!

(3)奪われた花嫁

(口づけを交わしてしまったんだわ……カリム、ううん、サクルさまと)


早めに休むよう言われ、リーンは床に入った。

だが、サクルとの口づけを思い出しては、下腹部がじわっと熱くなる。とても眠るどころではない。それでも、うつらうつらしながら、夢見心地で時間の流れを感じていた。


大公が何を思って、そのまま輿入れするように言ってきたのかわからない。

サクルがどうやってリーンを妻にするつもりなのかも。


でも、サクルの言葉を信じて従おう。リーンは心の中で何度もその言葉を繰り返し、揺らぎそうになる覚悟を必死で支えたのだった。



「夜半に申し訳ございません。王女様、お目覚めの時間でございます」


ハッとしてリーンは体を起こした。いつの間にか、グッスリ眠っていたらしい。

リーンはそのとき、天蓋に吊るされた薄いカーテン越しに大勢の気配を感じ、全身に緊張が走った。


(人……しかも、女性? それって侍女なの? でも、なんでこんなにたくさん……)


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