身代わり王女に花嫁教育、始めます!
アラブ産では滅多にいないという葦毛馬二頭に曳かせ、御者台にまで見事な金細工が施されている。

天蓋から下がっているのはペルシャ織の布で作られた幌であった。


花嫁は顔を隠し、震える膝を押さえながら新しい馬車に乗り込む。

ここまではバスィール公国の衛兵がガードしてくれた。そして、これより先はクアルン王国の兵が守ってくれる。


なぜなら、花嫁衣裳に身を包んでいるはずの女性はバスィール大公の娘レイラー王女。


この結婚は国の運命を左右するほど大事なもの。


それは個人的感情で変えることなどできない、王女として生を享けた者の宿命であった――――のだが。



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