身代わり王女に花嫁教育、始めます!

(1)魅惑の教育係

リーンがクアルン王国に入った二日目。

白を基調としつつ金糸でアラベスク模様を織り込まれた衣装がリーンのもとに届けられた。

バスィールの職人の手による意匠をクアルンで織らせた物らしい。それに手を通しながら、リーンは複雑な思いに駆られていた。


(昨日今日で織れるような品物じゃないわ。きっと、レイラー王女のために……。ひょっとして、王様って噂と違ってお優しい方なんじゃ)


普段は優しい王が、怒ると噂どおり手の付けられないほど恐ろしい方になるのだとしたら?


自分たちはその王の怒りを買うことになる。


せめてこのテントにいるうちに、最悪でもレイラー王女が偽者だと知られぬうちに……なんとかしなくては。

リーンは決意を新たにするが、彼女ひとりではどうしようもなかった。


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