†蝶鬼鈴†

“あの部屋”へ

―――――――――――――――――――どれくらい時間が経つのだろう。

この冷たくて暗い場所に入れられてから。

冷たいはずなのに、赤い液体の流れ出るところは、温かい。

私の血…。

弓の折れで打たれた皮膚は裂けた。

刀を突きつけられた首筋は切れた。

焼け火箸を押し当てられた腕は赤く腫れた。

ここに来る隊士たちは、同じような質問を繰り返した。


『隠れ宿は何処だ。』


『何を企んでいる。』


そんなの、私が知るわけない。

私が正直に吐いた情報以上のものを、彼らは求めた。


死にたい。


何度そう思っただろう。


殺してほしい。

けど、現実はそんなに甘くなかった。






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